早稲田大学歴史館に学ぶ、全冊横断検索の実現と持続可能な情報公開体制

早稲田大学

早稲田大学歴史館様は、早稲田大学の歩みや建学の理念、ならびに関係者の事蹟を明らかにし、未来へと継承することを目的としています。
あわせて、教育・研究・社会貢献にわたる大学の現在の姿を体系的に紹介し、学内外へ広く公開することで、次代を担う世代にとって学びと気づきの場となることを目指しています。
その一環として、大学の公式記録である『早稲田大学百年史』や、現在編纂を進めている『早稲田大学百五十年史』のデジタル公開を行っています。

利用例早稲田大学百五十年史・早稲田大学百年史


早稲田大学 歴史館のみなさまに伺いました。
サーバーバージョンアップに伴うコストと、検索性の課題
早稲田大学歴史館におけるWeb公開の役割を教えてください

当館は、早稲田大学の150年近い貴重な歴史資産を社会へ広く伝えるという重要な役割を担っています。その一環として、大学の公式記録である『早稲田大学百年史』や、現在編纂を進めている『早稲田大学百五十年史』のデジタル公開を行っています。

早稲田大学百五十年史・早稲田大学百年史はこちらからご覧いただけます。
(基盤システム:LOGOSWARE Libra)

 

以前のWikiベースのシステムには、どのような課題がありましたか?

旧システムはWeb画面(横書きテキストの縦スクロール)形式でしたので、Web閲覧に慣れた方には見やすさや引用のしやすさといった面もありました。しかし年史ごとに分かれてシステムが構築されていたため、『百年史』と『百五十年史』を横断する形では検索ができないという制限がありました。

それ以上に最大の問題となっていたのが、「独自サーバーのメンテナンスコスト」です。これまでのシステムはオープンソースでのスクラッチ開発したシステムを独自サーバーで動かしていたため、それを維持するためのOSやミドルウェアの定期的なバージョンアップが必要であり、膨大な運用費用と保守の手間が発生していました。

定期的に大きなコストが発生し続ける構造を変え、持続可能な情報公開体制を整えるためにも、サーバー保守の不要なクラウド型パッケージ『Libra』へのシステム移行を決断しました。

 

「自社開発」への期待と、旧システムでは叶わなかった「全冊横断検索」
ロゴスウェアを選ばれた決め手について教えてください

デジタルブックに限らずさまざまな分野の会社にお声がけを行って検討しました。
検討を進めていくなかで、御社を含む全冊横断検索が可能な2社に選定を絞っていくこととなりました。

御社を選んだ一番の理由は、「製品を自社で開発している」という点です。
製品を自社所有されているからこそ、標準パッケージの導入であっても今後の運用の変化に柔軟に対応していただけるのではないかという期待感がありました。

機能面や操作性の部分で評価されたポイントはありましたか?

以前は「百年史」と「百五十年史」をまたいだ検索ができなかったのですが、デジタルブックシステムに移行したことによって「全冊一括での横断検索」が実現できたことは良かった点ですね。「百年史」や「百五十年史」などで、複数ある書籍全体から目的のキーワードを1回の検索で把握できるようになったということは便利になりました。

選定時には館長をはじめとする研究者の目線で見ても、他のシステムよりもスムーズに動く表示スピードや一括検索のしやすさなど、利用時の操作性や利便性が向上したことが非常に好評でした。

また、閲覧ユーザーや公開冊子が増えても、表示や検索のスピードが落ちないというのもポイントの1つでした。あわせて、ユーザーの閲覧時に通信容量を最小限に抑えられるということも評価できました。

「書籍(原本)は修正しない」という思想の転換と、正誤表のゼロからの構築・継続運用
システム移行にあたり、運用の見直しは行いましたか?

はい。旧システムについては費用をかけて初期に作り込みを行い、文章中の単語から学内の「人名データベース」(旧システムとは別の学内システム)へ直接リンクを設定することで関連情報へとWeb上でアクセスできる機能を実装していました。しかし、今回のシステム移行にあたっては対象となる人物が多人数におよび、それにともなうシステム的な作り込みの箇所も膨大になりすぎるため、長期間に渡る運用の効率性を鑑みて、このデータベース連携機能の実装は見送る(諦める)決断をしました。

また、データ更新に関する考え方も大きく見直しました。旧システムの導入当初はWikiの特性を活かし、閲覧者の意見を集約して情報を更新していくという構想もありました。しかし、大学史という性質上「何が正しい情報なのか」についての精査が難しく、サービスについては本デジタルブックとは分けて考えることとしました。

他方で、以前は年史の記述に誤りがあるとデータを直接上書き修正するという方法を取っていました。今回の移行を機に、「出版物である書籍(原本)のデータは直さずそのまま残し、修正事項は正誤表で管理する」というシンプルな思想・運用方針へ切り替えることにしたのです。

ロゴスウェアの「運用代行サービス」は、どう役立っていますか?

データを直接上書きしていたという経緯から、整理された「正誤表」のデジタルデータが手元に存在しない状態でした。御社は、私たちが提供したPDFやExcelなどの多様な形式の素材を取りまとめていただき、Wordでの整形からPDF制作、さらにはデジタルブック化や本棚サイトへの設置まで、すべてを一括で代行して構築してくれました。

さらに初期のデータ構築だけでなく、今後の正誤表の更新管理も含めて継続的にお任せできる体制を整えていただいています。不揃いなデータ素材の編集・加工といった実務まで丸ごと代行していただけるおかげで、理想的で持続可能な管理体制へスムーズに移行できました。

クレームゼロのスムーズな移行とイベントを見据えた広報展開
移行後の反響はいかがですか?

スケジュール通りスムーズに公開することができました。一番心配していた移行に伴うトラブルや閲覧者からのクレームも一件も発生していません。利用者の方々からは「以前より表示が圧倒的に早くなった」「格段に使いやすくなった」という非常に嬉しい声をいただいています。

何より、サーバーのバージョンアップにかかる高額なコストについての懸念や保守の手間から解放されたことで、私たちのリソースにゆとりが生まれました。

今後の展望を教えてください。

現状として『百五十年史』第2巻の刊行を控えています。第2巻の刊行時には記念イベントを挙行する予定があり、大々的な周知やプロモーション、閲覧活性化といった、本来取り組むべき前向きな広報活動にエネルギーを集中させていきたいと考えています。

イベント等でWebでのアピールを大々的に行う際、アクセス数が一時的に上昇することが予想されますが、御社は「そうしたイベントの時期だけのスポットでプランを上げる(一時的にサーバー利用量の増加に対応いただく)」といった柔軟な費用・契約対応に配慮していただける点も大変心強いです。

インフラ環境の心配がなくなり、これからは運用の伴走パートナーとともに、より多くの皆様へ早稲田大学の歴史を届けるための前向きな施策へ注力していきたいと思います。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました。

 


*本記事は2026年9月に取材した内容をもとに構成しています。


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